2016年2月7日日曜日

子育てカフェ「森のようちえんの「はじまり」と「これから」」

昨日(2月6日)は登米市の手のひらに太陽の家で、長野のNPO法人山の遊び舎はらぺこの小林成親さんを招き、子育てカフェ「森のようちえんの「はじまり」と「これから」」が開催された。

「森のようちえん」は子どもたちが主体的な遊びや学びを促すことを通じ、感性の豊かさや身心の健康・体力、創造性や社会性、豊かな人間性を育くんでいく、北欧で始まった活動だ。
http://morinoyouchien.org/
会場には登米市、仙台市、栗原市、大崎市、気仙沼市、南三陸町から30名の定員をオーバーして多くの人が参加。子どもスペースも、大賑わい。お父さんたちも大活躍。

震災から5年が経過しようとしているが、この間、地域では、自分たちが何を持っているか、何をもっていないのか、何が生きるために本当に必要なのか、問いただす時間でもあったような気がする。
日本は、海も山も里もある。自然の資源には本当に恵まれた土地である。今まで活用しきれていなかったものを活用していこうと皆の視点が移り始めているのではないだろうか?
今年度で国が定めた東日本大震災からの集中復興期間は終わるけれど、本当のスタートはこれからかもしれない。

河崎清美

2015年10月8日木曜日

森を活かし、人を活かす


10月6日、「NPO法人青森バイオマスエネルギー推進委員会 株式会社高橋」を訪問する機会に恵まれた






株式会社高橋(以降「(株)高橋」)では、材木店より出た端材や間伐材等、建材として使うことができないような木材を粉砕、圧縮し、”木質ペレット”という固形燃料に加工したものをつくっている。原料は全て青森県産材である。ペレットストーブは、燃焼する過程で二酸化炭素を排出するが、樹木が成長する過程で二酸化炭素を吸収するため、地球温暖化対策にも寄与する化石燃料に変わる再生可能エネルギーとして注目をあつめはじめている。
木が使われることで、山に入る人も増え、管理が適切に行われるようになる。家庭用のストーブも利用は増えているが、農業ハウスや施設の用のペレットボイラーは更に需要が高まっているという。

以前は地域の材木も建材として活用されていたが、最近は大手メーカーの新建材を使う工法が広まってからは、地域の木材が使われなくなり、材木店の経営も厳しくなっているそうだ。材木が売れないことによって、人が山に入る機会も少なくなり、山は放置され、荒廃がすすむ。
建材として使うことができない木も利用される
良質のペレットをつくるために工夫された工場
木粉も集められ、再度、工程に入れられる。
マスクをする必要もない。
皮が入らないペレットは燃焼効率がよく、色藻白い


これからの循環型社会を象徴したブランド品として
「青森みらいペレット」と名付けられている
(株)高橋では、熱量が高く、灰も少ない良質のペレットづくりに力を入れると共に、環境に配慮した持続可能な地域循環型のシステムづくりも目指す。NPO法人しんりんが発行する「森券」という地域通貨の利用も推進する。「森券」は、森林整備、森林環境保全、森林資源の有効活用のために流用しようという主旨に賛同し、ペレットストーブを置く店舗で使うことができる。

また、エコを追求したエネルギー利用にも注目したい。機械を動かす動力には、屋根や敷地内に設置したソーラー発電を使い、にしている。質のよいペレットを作るために皮の部分は使わないので、皮の部分も機材を動かす動力にまわす。それでも足りない部分は、福祉作業所で回収した家庭や施設から出た廃油を使う。
それらのシステムを考えだしたのは、高橋社長の奥さまだそうだ。
女性の生活目線をエコシステムに活用する。
敷地内にはソーラー発電も設置されている

廃油を使ったバイオ発電も利用。廃油は地域の福祉作業所から購入する

新たに、日本ミツバチの飼育や映画づくりに取組みたいと夢が広がる高橋代表と
しっかり地に足をつけた生活目線をもって事業をささえる奥様

建材として使えない部分も、杭としては使える部分は利用され、
最終的に粉砕しないと使えないもののみペレットとして利用される


補助金に頼らず、自己採算で事業を運営する。
サスティナブル社会の可能性を模索する株式会社高橋の取組は、青森だけでなく、日本を牽引する取組でもあるだろう。





2015年7月23日木曜日

夏のイベント・お祭スケジュール

 

メニュー

1夏休み体験特集!!
2海、川、里遊び(日にち指定なし)
3お楽しみイベント
4市(定期)
5お祭り・花火大会

 
1夏休み体験特集!!
★印はお子様向けです。

【石巻市】
◆7月24日(金)~8月1日(土) STAND UP WEEK 2015
各種ワークショップ、仕事体験、野外映画館、サイクリング大会、まちあるきなど

漁業体験(大人向け)
◆8月28(金)-30日(日) 牡鹿漁師学校 ※締切:8月9日(日)
浜の資源である「食」に着目。授業では、漁業現場での漁業補助作業による研修と水産加工品の開発や流通経路の課題検討を行う。 
申し込みはこちらから→http://hamatsukuri2013.sakura.ne.jp/indexn.html

-雄勝町
7/25〜8/1 ・8/1〜8/8・8/22〜29 モリウミアスサマープログラムhttp://www.moriumius.jp/news/2015/5/22/78
※お申し込みはお早目に
8月8日(土)「こども芸術の村」プロジェクト雄勝石ワークショップ 真夏の石の研究会@波板ラボ
定員:15組(小学校5,6年生一人と保護者一人を一組とする)※締切:8月6日
申し込みはこちらから→https://s-ssl.jp/tabimusubi.co.jp/cgi-bin/reserve/detail.cgi?gno=20150808

【東松島市、女川町、石巻市】
◆8月17日(月)~9月13日(日) 第7回石巻に恋しちゃった「からやぶり」
スケジュール→http://ishikoi.com/program/
 
【南三陸町】
◆8月2日(日)漁師のゆめ伝説~歌津の浜を丸ごと体験!~
浜の昔ばなしと漁業体験+海鮮BBQ
申し込みの詳細はこちら→http://www.m-kankou.jp/archives/19036/

【気仙沼市】
8月8日(土)9日(日)9:00~16:00 はまわらす!夏休みスペシャル~親子で海体験だ!@越河漁港(気仙沼市本吉町蔵内)
定員:10組 ※締切:7月29日
申し込みの詳細はこちら→http://pc.kesennuma-kankomap.jp/topics/detail/4769
 


2海、川、里遊び(日にち指定なし)
【石巻】
ダイビングサービスHigh Bridge http://high-bridge1.com/index.html

【南三陸町】
さとうみファーム子ども夢牧場
  カヤックツアー http://satoumifarm.org/satoumi/kayak.html
  羊毛ワークショップ http://satoumifarm.org/satoumi/workshop.html

観光協会にも、お楽しみプログラム沢山!

女川町観光協会 http://www.onagawa.org/leisure/doing
南三陸町観光協会 http://www.m-kankou.jp/tour/
気仙沼市観光コンベンション協会 http://www.kesennuma-kanko.jp/enjoy.html
登米市観光物産協会 http://www.tome-city.com/taiken/
栗原市観光物産協会 http://kurihara-kb.net/taiken/index.php



3お楽しみイベント
【女川町】
◆7月25日(土)食とフラメンコの祭典BAILA☆ONAGAWA 2015@女川駅前広場並びに女川フューチャーセンターCamass https://www.facebook.com/bailaonagawa?fref=photo
◆7月26日(日)10:30~ 女川町獅子振り披露会@女川駅前広場https://www.facebook.com/mamushitai/photos/a.150069878517669.1073741826.148263338698323/395838857274102/?type=1&theater

【栗原市】
◆7月18日(土)~8月31日(月) カンテラ祭り @細倉マインパーク 観光坑道内 (栗原市鶯沢南郷柳沢2-3 ) http://kurihara-kb.net/event/detail.php?id=113

【登米市・栗原市】
◆8月1日(土)~8月31日(月) 伊豆沼・内沼はすまつり・長沼はすまつり
http://www.kuriharacity.jp/index.cfm/12,538,78,194,htmlhttp://www.miyagi-kankou.or.jp/sp/kakikomi/detail.php?id=4096



4市(定期)
【石巻市】
◆石巻ふれあい朝市(第1・第3日曜日7:00~(4月-12月))@石巻駅前広場(観光物産情報センターロマン回遊21前)※8月のみ第1・第2日曜日の開催
峠の市(第3日曜日10:00~15:00)@追分温泉・芋煮の庭(石巻市北上町女川大峯1)
http://tougenoichi.tumblr.com/

【女川町】
◆魚をテーマとした祭(第2土・日曜日10:00~15:00)@マリンパル女川おさかな市場(女川町浦宿浜字篠浜山2)

【南三陸町】
さんさん朝市(第1・第3日曜日6:00~8:30)@さんさん商店街センターコート

南三陸復興市(毎月最終土曜日)
※2015年7月25日 志津川湾夏祭@魚市場周辺 /  8月29日 八幡川かがり火祭復興市@さんさん商店街隣接特設会場
夜にはかがり火が灯り、三河からの手筒花火も披露される

【登米市】
お寺マルシェ(毎月第2日曜日@柳津虚空蔵尊敷地内)
https://www.facebook.com/otera.marchais

【大崎市】
ほっかぶり市(毎月第3土曜日・10:00~14:00)@花山酒まんじゅう店バイパス店 糀カフェtawemon(大崎市岩出山下野目長田17)
ほっかぶりJAPANhttp://ameblo.jp/hokkaburi-japan/



5お祭り・花火大会

【石巻市】
◆7月25日(土) 26日(日)金華山 龍神祭 龍(蛇)踊り奉納http://kinkasan.jp/saijitu/h27/ryuujinsai
◆7月31日(金)8月1日(土)石巻川開き祭り・花火大会http://www.ishinomakikawabiraki.jp/ 

【南三陸町】
◆7月25日(土)2015 夏祭り・夢メッセージ花火@志津川仮設魚市場(予定)http://www.m-kankou.jp/event/18807.html/
◆8月2日(日)歌津復興夏まつり・夢メッセージ花火2015@伊里前福幸商店街特設会場http://isatomae.jimdo.com/2015%E6%AD%8C%E6%B4%A5%E5%BE%A9%E8%88%88%E5%A4%8F%E3%81%BE%E3%81%A4%E3%82%8A/
◆8月29日(土)八幡川かがり火まつり@福興市福幸商店街特設会場http://www.m-kankou.jp/event/13037.html/

【気仙沼市】
◆8月1日(土)2日(日)第64回気仙沼みなとまつり・海上打ち上げ花火2日夜) http://www.kesennuma.or.jp/minatomatsuri/
◆8月13日(金)大島浦の浜夏祭り・花火大会http://www.miyagi-kankou.or.jp/kakikomi/detail.php?id=4185
◆8月15日(土)お伊勢浜ライブフェスタhttps://www.facebook.com/oisehama?fref=photo

【登米市】
http://www.city.tome.miyagi.jp/kankou/spot/eventsummer.html#e02
◆7月25日(土)26日(日) 佐沼夏まつり/花火大会
◆8月9日(日)YOSAKOI&ねぷたinとよさと
◆8月13日(金)ふるさと花火in長沼

【栗原市】
◆7月25日(土)26日(日) くりこま山車まつり@栗原市栗駒岩ケ崎馬場通り他http://kurihara-kb.net/event/detail.php?id=96
◆8月16日(日)若柳夏祭り流灯花火大会http://hanabi.walkerplus.com/detail/ar0204e00643/


【その他】16
◆7月25日(土) 2015みちのく川崎花火フェスタhttp://kawasaki-asobi.jp/news/event/%E3%80%90725%E9%96%8B%E5%82%AC%E3%80%91%E3%80%8C%E3%81%BF%E3%81%A1%E3%81%AE%E3%81%8F%E5%B7%9D%E5%B4%8E-%E8%8A%B1%E7%81%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%80%8D%EF%BC%81%EF%BC%81/
◆8月22日 大曲花火大会(全国花火競技会)
http://www.oomagari-hanabi.com/


※このリストは、7月23日現在でFORTUNE宮城が把握しているものです。新たな情報が入り次第、別途facebookなどでお知らせいたします。

2015年7月15日水曜日

市民がつくる町の未来ー「わらすの"わ"未来会議」(気仙沼)


79日、気仙沼湾を臨む高台にある紫会館で「わらすの""未来会議」が開催された。集ったのは、気仙沼市で子どもに関わる活動をしている個人や団体に所属する27名。「わらすの""」は、震災後、子ども支援に関わってきた仲間たちのつながりから、「子どもを中心に地域の事を話せていけたら、それだけで気仙沼が変わるのではないか?」と、2014年春に有志で結成されたネットワーク。この一年、気負わない形でワークショップや勉強会を続けてきた。


「わらすの”わ”」のメンバー、底上げの成宮さんより「けせんぬま創生戦略会議」について

そして、今年、2015年6月、気仙沼市は、人口減少対策と地域の活性化を目的とした「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定するための総合戦略の検討、検証をする場、「けせんぬま創生戦略会議」を設置した。「仕事」、「定住・交流促進」、「子ども・結婚・福祉」、「地域づくり・教育」という4つの分科会が設置され、10月までに具体的な施策の企画・立案を行う。http://www.city.kesennuma.lg.jp/www/contents/1430459144033/index.html「わらすの""」のメンバーも少なからず委員として加わることになった。時間制約は厳しいが、この機会に、多くの人の声を市の施策に取り入れたいと広く声を集めようということになり今回の未来会議が開催された。参加者は気仙沼市だけに限られず、FORTUNE宮城は登米市から参加。南三陸町からも参加があった。高校生の参加もあった。

「まち・ひと・しごと創生総合戦略」には4つの基本目標がある。
1地方における安定した雇用を創出する
2地方への新しいひとの流れをつくる
3若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる
4時代に合った地域をつくり,安全なくらしを守るとともに,地域と地域を連携する


この会が設けられた経緯が説明されてから、少々スパイスを利かせた「しりとり」で場が和んだあと特別なテーマは授けず、「こんな気仙沼であればいいな」ということを話そうと8グループに分かれて始まった。途中一回、メンバーチェンジがあった。どちらでもまず出てきたのは、子どもの遊び場の問題だった。

小グループに分かれて話す



被災地沿岸部は今どこも急ピッチで工事が進められており、車通りも激しく、子どもを自由に移動させられる状況ではない。校庭も仮設住宅で使えない場合も多い。しかし、それだけではないのではないか、という声もあった。「子どもが外で遊んでいる姿を見ない」「部屋の中でゲームをしているのではないか」「ゲームは面白くできている」「大人は外遊びのおもしろさを伝えられていない」「車社会の弊害ではないか」などの意見もあった。
やはり一番は、子どもの遊び場の問題。漁業の町なのに魚が高い!との声も……

「住みたい人のための家が無い」と深刻な住宅不足への不満も出た



被災地沿岸部ではどこも工事が急ピッチで行われている。トラックもひっきりなしで行き交い、歩道も確保されているところは少ない。しかし、原因はそれだけだろうか?考えてみると、子どもだけでなく、大人もあまり外を歩かなくなった。以前は、歩いたり自転車で行ける範囲に小売り商店があり、そこがコミュニケーションの場にもなっていたが、今は移動はほぼ車。子どもが友達の家に遊びに行くのも親が送り迎えをする。校区外に子どもだけで遊びに行ってはいけないという学校の決まりもあるらしい。「不審者」というひと昔には無かった不安要素も出てきた。

大人がつくってきた管理社会に大人自身も苦しめられているような気もしてくる。
住む家が無いという問題も同じように出ていた。

被災地では、こうやって地域の人が集い話しをする機会が他地域に比べ断然多い。規制のものが壊れてしまったからだ。
課題の元を追求していくと、震災が原因のこともあるが、実は震災以前からの問題だったということも多い。震災以前からの問題だからといってそれを放置しておくことはできない。これから多大なエネルギーと資金を投入してつくる新しい町は、100年、200年、その先も持続可能な町にしていこうと、話し合いは重ねられる。役員の一部は18歳以上〜40代と若い層に絞って公募で決められたようだ。

様々な問題が震災を契機に表面化した。この機会をぜひ市民の手でプラスに変えて欲しい。そこには日本全体を変える鍵があるかもしれない。


by 河崎清美


2015年7月7日火曜日

「ウルトラシャルソン」走って、出会って、食べて……旅を楽しみながら被災地を応援する


石巻市役所前で。さあ、スタート!

もくもくと走る時間もある。

7月3、4、5日と、「第三回ウルトラシャルソン」が開催された。
「ウルトラシャルソン」は走ることを通じてまちを再発見し、人と人とをつなげるランニングイベント「シャルソン」の仕組みを使った東北応援プロジェクト。走りながら、被災した土地を知り、人を知り、その魅力をネット/SNSを通じて発信していく。決して早さを競うものではない。その土地や人とコミュニケーションをとりながら参加者それぞれ無理の無いペースで進む。
昨年開催された第一回、第二回では、釜石〜石巻間を走り、その土地でまちづくりに関わっている人たちに話を聞き、交流した。
第三回目、今回の行程は、石巻から少し北上して、女川、雄勝まで走り、最終的には東松島までのランニング。

今回は、二日目の夜、少し顔をださせてもらった。場所は石巻市雄勝町大須の「亀山旅館」。トークは、「雄勝まちづくり協会」の畑山泰賢さん。

2日目最終到達地点の亀山旅館で仲間を待つみなさん



ウルトラシャルソンは、走ること、旅をすること、人と出会うことを楽しむスポーツイベント。数十人の単位でゆったり走るので、人との距離が近くなる。匂いや風を感じ、風景も車からみるものと人の目線から見るものでは別物になるという。

全員到着した後はお風呂で汗を流し、また濃密な時間がはじまる。
食事は昭和の雰囲気が色濃く残る大広間で。隣は郡山から来た寿泉堂総合病院、釣りサークルの皆さん。 震災前の土産物屋、雄勝硯の店、飲食店が並んでにぎわっていた町を知っているので、今の状態を見ると涙が出てくるという。思いがけぬ交流もあった。

雄勝に向かう道の両側の杉林は鬱蒼としている。明らかに間伐が必要だ。
最近、木こり講習にも参加しているので、思わず山に入りたくなる

寿泉堂総合病院からの皆さん。19年前から毎年この大須に来ているという


「雄勝まちづくり協会」の畑山泰賢さんのお話には、
寿泉堂総合病院からの皆さんも聞き入っていた


雄勝まちづくり協会の畑山さんからは、震災から今までの町の状況をうかがった。町が流され、人口が激減するなか、コミュニティの再生が叫ばれても、皆が集まる場所さえ無かった時に、「公民館」というどこにでもある機能を行政が担えないのであれば、民間でサポートしようと2012年8月より国内外の支援を受け「オーリンクハウス」http://www.o-link.org/
の建設がはじまった。「オーリンクハウス」には、絵本等も置く会議室、カフェ、ホール、プロジェクターの貸し出しなど、公民館がもっている機能をもち、映画鑑賞会、落語会、音楽会、講演会など、人が集まり易いイベントも企画している。運営は、NPO法人雄勝まちづくり協会。畑山さんは、雄勝は100年後の日本の姿を現している最先端の町だと考えている。少子高齢化、人口減少がすすむ中、問題は、地域の人が「どう豊かに生活していけるか」だと考える。私たちは、社会の変化の中で新しい価値観を見つけ出していく必要があるのかもしれない。

参加者は、 IT関係、ゲストハウススタッフ、レストラン経営者、企画制作に関わる人など、様々な職業に従事している。一言では伝えられない仕事もある。ウルトラシャルソンを機会に地域とつながって地域起こしを手伝いたいという気持ちを持っている人もいる。
しかし、基本は楽しむこと。 「ウルトラシャルソン」は気負わない。参加者は、走ること、食べること、人との出会い、そして旅そのものを楽しんでいる。


ウニ、ホヤ、カツオ、どれも肉厚で旬!
今、三陸沿岸部のどこで食べてもまずハズレはないだろう





このウニはまだ動いていた


参加者は合間をみて、facebookやtwitter、ブログなどで情報発信をする。それを見た人からは、未だに裸の土地が広がっているのに驚く声も多いそうだ。
外から見た状況はそうでも、土地の人に話を聞いていると、最初の頃とステージが変わってきているのだと思った、という声もあった。「被災地」ということから離れて、地域の魅力を伝えたいという地元の人の想いが伝わってきたという。実際足を運んで人と触れ合わないと伝わらないこともあるということをウルトラシャルソンの参加者はよく知っている。

代表の佐谷さんからは、これから、被災している茨城まで南下し、折り返す予定だという話をうかがった。まだ足を運んでいない青森にも行きたいという。きっかけは何であれ、被災地に足を運び、声を聞くことは、被災地を勇気づけることになる。


被災地では、本当に大変なのはこれからという声をよく聞く。建築物などハード面での変化はこれから大きくなるだろうが、それは必ずしもそこに住む人の心の高揚につながるとは限らない。ウルトラシャルソンのような気負わず息の長い関わりが今後はもっと必要になるのかもしれない。

今回の行程は以下。


Day1
石巻駅集合
 牡鹿半島「はまぐり堂」http://hamagurihama.com/cafe/
 女川駅(ゆぽっぽ)http://onagawa-yupoppo.com/
女川 トレイラー宿泊所 El Faro http://elfaro365.com/index_pc.php

Day2
石巻市雄勝町 ナミイタ・ラボhttps://www.facebook.com/namilab
おがつ店こ屋街 http://www.city.ishinomaki.lg.jp/cont/10452000b/-kanko/-kankomap/d0290/20130225160732.html
 亀山旅館(「雄勝まちづくり協会」 (「オーリンクハウス」http://www.o-link.org/ 運営)畑山さん講演)

Day3
モリウミアス http://www.moriumius.jp/#whats-new
大川小学校跡地
 かき小屋渡波 http://yakigaki.com/
(木の屋石巻水産 http://kinoya.co.jp/eccube/ 松友さん講演 )
サンファンビレッジ http://www.sunfun-village.com/

Day4
東松島駅

ちょいと塩竃神社でお参りに

次回、第4回目は東松島から出発。8月後半に予定されている。

(またfacebook等でお知らせいたします)



by: 河崎清美

2015年7月3日金曜日

人が集う場作り2

「あれ、どこ?この辺だよね」「あの店で聞いてみよう」
7月1日、南三陸町からの一行は石巻で活動する「巻組」の事務所を探していた。その店の店主さんは「よくみなさん、ここでわからなくなるんですよね」 と言いながら丁寧に案内してくれ、「巻組」代表の渡邊享さんに会うことができた。
 昭和の商店街の町並みが残る石巻の街中。家と家が密集する間を抜けて小さなドアを通ってお店の隣の建物へ入り、 年代を経た古い木の階段を上がり、元は和室だったらしい開けた空間に案内していただいた。

壁は抜かれて、昭和の匂いを残しながらも大勢の人が集える空間になっている



巻組の今までと今の活動を渡邉さんより紹介していただく


「巻組」http://makigumi.com/makigumi%20_book.pdfは、震災後、石巻で様々なプロジェクトを生み出してきたISHINOMAKI2.0で活動していたデザイナー、プランナー、建築家がメンバーとなり設立した合同会社。
 
 昭和の終わりには18万人を越える人口があった石巻の駅前には、広い商店街が広がる。しかし、その多くが今では、シャッターが降ろされたままである。使われているようなところも、店舗だけ使い、住まいは郊外の広い家に移した2階より上は使われていない、或は、そこに住んではいるものの、店舗は閉めているケースもある。元々人口減少であったのが震災後加速しているのは、被災地はどこも同じ状況だ。統計をみると、その中でも15~64歳の「生産者人口」は減っているが、65歳以上の「高齢者」は増えている。
 「巻組」は、そんな町の空洞化に歯止めをかけ石巻に留まる人を増やすため、リノベーション可能な物件を探し、短期でも生活でき低料金で借りることができるシェアハウスをつくったり、店舗のデザインを手がけている。また、 今年の3月末にオープンした新しいコンテナ商店街「橋通りCOMMON」のプロデュースにも関わってきた。リノベーション現場には地元の大学生や若者も関わり、石巻を見直すきっかけにもなっている。
 現在進んでいるプロジェクトとしては、「 一般社団法人FISHRMAN JAPAN(フィッシャーマン ジャパン)」http://fishermanjapan.com/と恊働で進める「TRITON PROJECT(トリトン プロジェクト)」http://triton.fishermanjapan.com/top.html、カッコよくて、稼げて、革新的な「新3K」の漁師を増やすための基地を各浜につくろうというプロジェクトだ。そこは、ちょっとした研修施設としても使えるような機能も持たせ、漁師になることに興味を持つ人が住め、漁業体験ができるような、また、若い漁師さんが集ってコミュニケーションがとれるような拠点にしたいという。現在、FISHRMAN JAPANには塩釜から南三陸町まで12人の若い漁師さんが参加。そして、10年後には、漁師を1000人増やすという夢を持っている。

巻組と連携してTRITON PROJECTを進めるFISHRMAN JAPANの
マネージャー、島本幸奈さんからプロジェクトの内容を説明していただく

車座で自己紹介と質問タイム
南三陸町からは、観光協会、研修施設などで働く人だったり、webショップを経営する若者が参加。南三陸町には、石巻のような商店街は残っていないが、内陸部に放置されている空き家はけっこうある。そこを活用しようという案はすでに出ているようであるが、実現にいたるには様々なハードルを乗り越えな ければいけない。
 地方で 賃貸をすすめるには、オーナーとの信頼関係が一番必要なことであること、それでも契約はしっかり書類で交わした方がよいこと、シェアハウス運営初めは、住民の顔合わせのイベントを開催してコミュニケーションを図るのがよいなどいくつかポイントになることもお話しいただいた。

 話のあとは、実際にリノベーションをした現場の視察に。お隣のシェアハウス部分の共用部分をみせていただき、街中へ。巻組としてのものだけでなく、それぞれに個性的に使われている店舗や事務所も案内していただいた。

シェアハウス「八十八夜」。
木造の内装をとりはらい、コンクリートの構造をみせる。
木作りの家具の温かさが一層際立つ。     





あいにくの天気だったが、いざま街中へ。








大漁旗を使った小物を制作販売している「FUNADE(ふなで)」
もともとボランティアで石巻に来た有志が素人ながらにリノベーションした。
これがきっかけで、大工になり石巻に住み着いた人も。
流木や廃棄寸前のものがお洒落なデザインに変身する。    










橋通りCOMMONへも足をのばす。コンテナやトレーラーは
青山(東京)から譲り受けたという。



FUNADEを改装した大工さんがここでも活躍


そして、石巻の街中を案内してもらったあとは、北上町十三浜のリノベーション現場へ。


現在まだ改築中













十三浜は南三陸町の隣に位置する。実は、石巻の街中よりも南三陸町のさんさん商店街に行く方が近い。南三陸町の人がリノベーションを実際経験してみるなら、この現場で経験することもできる。
「何か一緒にできるといいですね。」と話して別れた。
先日、medicaraさんの話を聞いた時も思ったが、リノベーション の現場は人と人をつなぐ役割もはたすようだ。

 震災後、各市町村単位で復興への道筋をつけていくのに精一杯に見えたが、今の時期、草の根レベルで人と人がつながってきているように思える。
 まだまだ展開は広がりそうだ。

by 河崎清美

2015年6月25日木曜日

どろんこ田んぼの観察会

6月21日、「どじょういる?」どろんこの網を持った子供たちは、どろんこになりながら思い思いに田んぼに住む生き物たちを追っていた。
登米市迫(はさま)町森地区にある「はさま自然村」の田んぼで、親子観察会が開催された。

参加の家族はほとんどが非農家。
1歳のお子さんを抱えるお母さんからは、「子どもが田んぼを見る度に『入る、入る』というけど入らせてあげられなかったので、嬉しいです」という声が。田んぼが広がる登米市だけれど、住民が農家ばかりとも限らない。
そして、農業も大規模集約化がすすみ、大人が機械で整備するので、子どもが田んぼに入る機会も少なくなっている。









 低農薬、無農薬にこだわりを持っ て作付けをしている田んぼなので、生きものも沢山。
  遠慮なくドカドカ入る子供たちにヒヤヒヤだったが、稲はけっこう強く、少々傾いてもまた起き上がるそうだ。

企画の中心になっている千葉伸一さんの口からは、
「森地区でこんな風景初めてみたかも知れない」という




座学では、南三陸町ネイチャーセンター友の会の協力も得て、紙しばいでわかりやすく田んぼと生きもの関係を教えてもらった。
 人は昔、水を求めて川の側に住み着いた。そこは、川の氾濫で被害にあうこともおおかったけれど、そこに湿地帯ができ、生きものも多く住み着くようになったそうだ。人はその地に田んぼをつくり、米を収穫する。湿地帯にいた生きものも、田んぼに移り住み。生きものにとっても、人にとっても利をもたらすのが「田んぼ」だそうだ。


手づくり紙芝居に子どもだけでなく、大人もつい見入ってしまった。

『田んぼを見る度に入るって言い出したらどうしよう』と心配するお母さんを尻目に、したり顔


ゾロソロ歩く親子。スタッフからは、「森地区でこんな風景初めてみたかも知れない」という言葉が漏れた。車社会の現代では、こうした風景も少なくなっている。





ザリガニを手でつかまえてご満悦



カエルを見る度、興奮!



小学校では「バケツ稲」といって、子供たちそれぞれが、稲を育てる 授業もあり、この企画の中心人物である千葉伸一さんも講師として小学校で「バケツ稲」を教えている。しかし、それでは田んぼの感触がわからない。子供たちに田んぼに入って、直接田んぼを知って欲しい、という思いを持っていた。


田んぼだけではない。シロツメクサで冠づくり、運転手ごっこ、田んぼの周りにあるもので思い思いに楽しんでいた。



そのうち本当に運転するようになるかな?


カエルにザリガニ、チョウチョにメダカ、カブトエビ、どじょう……。虫かごや水槽に入れた生きものたちはまた帰ってもらう。


田んぼのあとはトマトハウスでトマトのもぎ食べをして、子ども用プールで水遊びを兼ねてすっきりしたあとは、「イセヒカリ」「ひとめぼれ」「つやひめ」お米の食べ比べ。


無農薬なので、採りたてをすぐ食べても大丈夫

お米の食べ比べも。「お米によって全然味が違う」と会場からも驚きの声が!




心配していた天候にも恵まれ、それぞれに楽しめる一日になった。
今回の企画には、FORAATUNE宮城も入って一緒にすすめさせてもらった。一般参加者の「楽しかった」「またやってください」という声も嬉しかったが、若いスタッフが楽しみ、また開催したいと言ってくれたのは更に嬉しいものだった。

稲や野菜がスーパーに並んでいる状態だけでなく。畑や田んぼで四季折々の姿をみせている。そんなことを伝えるイベントを再び開催したい、と熱く語るスタッフ。また、楽しいことがはじまりそうだ。


by 河崎清美